伊勢神宮の参拝はどっちから?外宮→内宮の正式な順序と回り方を徹底解説

伊勢神宮を訪れる際、「外宮から参るのか、それとも内宮からか」と迷う人は少なくありません。伊勢神宮は日本でも特別な神社であり、参拝の順序にも古くからの意味と作法があります。そのため、初めて訪れる人ほど「どちらから行くのが正しいのか」を事前に知っておきたいと考えるのは自然なことです。

特に、外宮(豊受大神宮)と内宮(皇大神宮)はどちらも重要な神域で、それぞれ祀られている神様の役割が異なります。参拝の順序は、単なる観光ルートではなく、神々への礼を重んじる日本の伝統的な考え方にも関係しています。

この記事では、正式な参拝順序とその理由、そして観光の観点から見た回り方のポイントを紹介します。宗教的な意味と実用的なアクセス情報の両面から、伊勢神宮をより深く理解し、気持ちよく参拝できるように解説していきます。

伊勢神宮とは?内宮と外宮の基本情報

伊勢神宮の構成

伊勢神宮は、三重県伊勢市に位置する日本を代表する神社で、「神宮」といえば通常この伊勢神宮を指します。中心となるのは「内宮(ないくう)」と「外宮(げくう)」の二つの正宮で、これに別宮・摂社・末社などを合わせた125の宮社から構成されています。

内宮と外宮はそれぞれ別の神を祀っており、神話における役割も異なります。どちらも独立した神域を持ち、広大な森の中に社殿や神域が整えられていますが、両者は密接に結びついています。

内宮(皇大神宮)

内宮は「皇大神宮(こうたいじんぐう)」と呼ばれ、天照大御神(あまてらすおおみかみ)をお祀りしています。天照大御神は日本神話において太陽を司る最高神とされ、皇室の御祖神としても崇敬を集めています。内宮の創建は約2000年前ともいわれ、古代から国家の中心的な神社として厚く信仰されてきました。

境内は五十鈴川の清流に沿って広がり、神聖な空気に満ちています。宇治橋を渡ると、俗世から神域へと入る感覚を味わうことができ、四季折々の自然も参拝の魅力のひとつです。

外宮(豊受大神宮)

外宮は「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」と呼ばれ、豊受大御神(とようけのおおみかみ)をお祀りしています。豊受大御神は衣食住や産業の神として知られ、内宮の天照大御神に食事を供える神として鎮座しています。そのため、日々の神事では「外宮先祭(げくうせんさい)」と呼ばれるならわしが守られています。

外宮の境内は、内宮と比べて落ち着いた雰囲気があり、参道の松並木や広い敷地の中をゆったりと歩くことができます。伊勢市駅から徒歩圏内に位置しており、外宮を起点に伊勢神宮参拝を始める人も多く見られます。

正式な参拝順序:外宮から内宮へ

ならわしとして「外宮→内宮」

伊勢神宮の参拝は、古くから「外宮(げくう)を先に、内宮(ないくう)を後に」という順序で行うのが正式とされています。この習わしは「外宮先祭(げくうせんさい)」と呼ばれ、皇室の参拝でも同じ順序が守られています。外宮の豊受大神宮にまず感謝と祈りを捧げ、その後に内宮の皇大神宮へ向かう流れが伝統として定着しています。

外宮から内宮へ参る順序は、単なる慣例ではなく、神々の関係性に由来するものです。外宮は内宮に供え物を届ける役割を担っており、その関係を敬う意味でも外宮を先に訪れることが古来よりの作法とされています。

その理由と意味

外宮に祀られている豊受大御神は、内宮の天照大御神に食事を供える「御饌都神(みけつかみ)」としての役割を持っています。この神事は「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」と呼ばれ、毎日欠かさず行われています。豊受大御神が天照大御神を支える存在であることから、まず外宮でその恵みに感謝し、次に内宮で国家や個人の繁栄を祈るのが礼儀とされています。

また、「外宮先祭」は内宮と外宮の両方を参拝する際の基本的な考え方として今も受け継がれています。特別な儀式や祭事でもこの順序が徹底されており、伊勢神宮の伝統を体現する大切な形式です。

現地の流れ

参拝の際は、外宮を先に訪れ、その後に内宮へ移動するのが一般的です。外宮と内宮の距離は約4kmあり、車でおよそ10分、徒歩ではおよそ45分ほどかかります。外宮から伊勢市駅を経由して内宮へ向かうバス路線も整備されており、観光客でも移動しやすい環境が整っています。

外宮の参拝では、表参道火除橋から正宮に向かうのが基本で、手水舎で身を清めてから静かに進みます。参拝を終えたら、外宮前の商店街で軽食をとるなどしてから内宮へ移動すると、時間の流れにゆとりを持てます。内宮では宇治橋を渡ると神域に入り、五十鈴川で手を清めてから正宮へ進むのが一般的な参拝の流れです。

アクセス・回り方のポイント

公共交通機関で回る場合

公共交通機関を利用する場合は、JR・近鉄「伊勢市駅」が外宮への最寄り駅です。駅から外宮までは徒歩約5分と近く、まずここから参拝を始めるのが便利です。外宮の参拝を終えた後は、伊勢市駅前や外宮前から発着する三重交通バスを利用して内宮へ向かうのが一般的です。バスの所要時間は約10〜20分で、運行本数も多く、観光シーズンでも移動しやすい環境が整っています。

内宮前のバス停はおかげ横丁やおはらい町にも近く、参拝後に観光や食事を楽しむことができます。駅から一日乗車券を利用すれば、外宮・内宮間の移動に加えて周辺観光にも活用でき、効率よく伊勢市内を回ることができます。

車で回る場合

車で訪れる場合は、まず外宮周辺の駐車場を利用して参拝を行い、その後に内宮へ移動するルートが定番です。外宮と内宮の間は約4kmの距離があり、所要時間はおよそ10分前後です。伊勢市内には道路案内が整備されており、外宮から内宮へ向かう案内も分かりやすく設置されています。

特に週末や連休中は内宮周辺の道路が混雑するため、午前中に外宮、昼以降に内宮を訪れると比較的スムーズに参拝できます。内宮には「B駐車場」「A駐車場」など複数の駐車場があり、空き状況によって係員が誘導してくれます。

観光ルートの例

観光を兼ねて伊勢神宮を回る場合は、「外宮参拝 → 伊勢市駅周辺で昼食 → 内宮参拝 → おかげ横丁散策」という流れが人気です。おかげ横丁には伊勢うどんや赤福など名物グルメが集まり、参拝後の休憩にも適しています。

また、時間に余裕がある場合は、外宮・内宮のほかに月夜見宮や倭姫宮といった別宮を訪れるのもおすすめです。外宮から徒歩圏内にある月夜見宮は、落ち着いた雰囲気の中で静かに参拝できる場所として知られています。

初詣・特別参拝の際の注意点

初詣時期の混雑傾向

伊勢神宮の初詣は全国から多くの参拝者が訪れるため、元日から三が日にかけて特に混雑します。内宮の宇治橋付近は朝から人が絶えず、参拝までに長時間並ぶこともあります。混雑を避けたい場合は、早朝の時間帯や4日以降の平日に訪れるのが適しています。

外宮は内宮よりも比較的落ち着いており、ゆったりと参拝したい人には先に訪れるのがおすすめです。外宮で静かにお参りを済ませてから、時間をずらして内宮へ向かうと移動もスムーズです。

交通規制・アクセス情報

初詣期間中は、伊勢市内の道路で交通規制が実施されます。特に内宮周辺では車両通行止めや一方通行の区間が多く設定され、駐車場も利用制限がかかる場合があります。事前に伊勢市観光協会や三重県警の公式サイトで最新情報を確認しておくことが大切です。

公共交通機関を利用する場合、伊勢市駅や宇治山田駅からの臨時バスが増便されます。SuicaやICOCAなどの交通系ICカードが利用できるバスも多く、スムーズに移動できます。夜間は運行本数が減るため、帰りの時間をあらかじめ確認しておくと安心です。

特別参拝(御垣内参拝)を希望する場合

伊勢神宮では、正宮の外側から参拝する一般参拝のほかに、正宮の内側に入って拝礼する「御垣内参拝(みかきうちさんぱい)」が行えます。この参拝を希望する場合は、受付で初穂料(2,000円以上が目安)を納め、神職の案内に従って進みます。

御垣内参拝では正装が求められ、男性はスーツ、女性はフォーマルな服装が推奨されます。帽子やアクセサリーは外し、静粛に行動するのが礼儀です。内宮・外宮どちらでも受付場所が異なるため、事前に社務所で案内を確認しておくと安心です。

まとめ

伊勢神宮の参拝は、古くから「外宮→内宮」の順に行うのが正式な作法とされています。これは、豊受大御神が天照大御神に供え物を届けるという神話の関係に由来しており、外宮に感謝を捧げてから内宮へ進むのが礼にかなった流れです。

観光として訪れる場合も、この順序に従えば自然と効率よく参拝を進められます。外宮から内宮までは約4kmと近く、徒歩やバス、車でも移動がしやすい距離です。外宮で落ち着いた参拝を済ませた後に、内宮で壮厳な雰囲気を体感すると、伊勢神宮の魅力をより深く感じることができます。

初詣の時期は混雑が激しくなりますが、外宮を先に訪れることで比較的ゆとりをもって参拝できます。交通規制や臨時バスの情報を事前に確認し、時間に余裕を持った計画を立てることが大切です。外宮・内宮の両方を丁寧に巡ることで、伊勢神宮の伝統と神聖さにふれる貴重な体験ができるでしょう。