つくば市と聞くと、多くの人が「研究学園都市」というイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。確かに、筑波大学や研究機関が集まる街として知られていますが、実際の市街地の様子や生活の便利さについては意外と知られていません。「茨城県＝田舎」という印象を持つ人も多く、つくばがどの程度都会的なのかを気にする人は少なくありません。
近年は、つくばエクスプレス（TX）の開通により都心へのアクセスが格段に向上し、商業施設や住宅地の開発も進んでいます。そのため、移住先や通勤圏として注目する人が増えています。この記事では、つくば市の発展度や交通の利便性、生活環境などを多角的に紹介し、「つくば市は都会なのか、田舎なのか」という疑問に客観的な視点から迫ります。
つくば市の概要と位置関係
地理的特徴と人口規模
つくば市は茨城県南部に位置し、首都圏の一角を形成する学術研究都市です。面積はおよそ284平方キロメートルと広大で、市域の多くが緑に囲まれたゆとりある街づくりが行われています。中心部には市役所や商業施設、研究機関が集まり、郊外には住宅地や自然公園が広がっています。市内には筑波山をはじめとする自然豊かなエリアもあり、都市と自然が共存する構成になっています。
人口は約25万人（2025年時点）で、茨城県内では水戸市に次ぐ規模を誇ります。筑波大学や国立研究機関が立地していることから学生や研究者の割合が高く、国際的な人材も多いのが特徴です。特に留学生や外国人研究者の増加により、多文化的な雰囲気が感じられる地域としても知られています。
東京との距離・アクセス圏
つくば市は東京の北東約50kmに位置し、都心からのアクセスも良好です。秋葉原駅からつくば駅まではつくばエクスプレス（TX）で最短約45分で直通しており、通勤圏としても利用されています。高速道路では常磐自動車道や圏央道を介して首都圏各地への移動が容易で、車でのアクセスにも優れています。
また、市内交通も整備が進んでおり、つくばセンターを起点に各方面への路線バスが運行されています。東京方面からの利便性と、市内の広域的な交通網の両方を兼ね備えた都市構造となっています。
交通アクセスの利便性
つくばエクスプレス（TX）の存在
つくば市の交通利便性を語るうえで欠かせないのが、つくばエクスプレス（TX）の存在です。2005年に開業したこの鉄道は、秋葉原駅からつくば駅までを最短45分で結び、都心へのアクセスを大幅に改善しました。TX沿線には研究学園や守谷など新しい街が次々と整備され、通勤・通学の利便性が高いエリアとして人気を集めています。運行本数も多く、朝夕の通勤時間帯には数分間隔で電車が発着するため、首都圏の鉄道として十分な利便性を備えています。
また、TXは地下区間が多く、天候の影響を受けにくいのも特徴です。快速や区間快速などの種別があり、利用目的に応じて柔軟に選べる点も好評です。車内や駅構内の清潔さや新しさも、つくばの都市的な印象を支える要素のひとつとなっています。
市内交通の利便性
市内の移動手段としては、路線バスと自家用車の併用が一般的です。つくばセンターを起点に、筑波大学や研究学園、住宅地などを結ぶバス路線が網の目のように走っています。特に関東鉄道バスやつくバスが主要な交通を担い、地域ごとに異なるルートで運行されています。バス停や時刻表も整備されており、日常の移動に困ることはほとんどありません。
一方で、市内は道路網の整備が進んでおり、車社会としての側面も強いです。幹線道路が広く渋滞が少ないため、通勤や買い物の移動がスムーズに行えるのが特徴です。研究学園や学園の森などの新興エリアは駐車場付きの店舗が多く、車でのアクセスを前提とした街づくりが進んでいます。市街地と郊外を結ぶ道路も整備されており、つくば市全体での移動のしやすさが確保されています。
街の発展度と商業施設
つくば駅周辺の再開発と街並み
つくば駅周辺は、つくばエクスプレスの開業に合わせて大規模な再開発が行われたエリアです。駅前にはペデストリアンデッキが広がり、歩行者専用の空間が整備されています。周辺には「トナリエつくばスクエア」や「BiViつくば」などの商業施設が立ち並び、買い物や食事、映画など多様な楽しみ方ができます。駅直結の利便性と開放感のある街並みが特徴で、日中は家族連れや学生、ビジネスパーソンでにぎわっています。
また、駅周辺にはオフィスビルやホテルも多く、ビジネス需要にも対応しています。夜になるとライトアップされた建物や街路樹が都市的な雰囲気を演出し、地方都市とは思えない洗練された景観が広がっています。再開発によって整備された公共空間やイベント広場も多く、季節ごとに地域イベントやマルシェが開催されるなど、市民の交流拠点としての役割も果たしています。
研究学園・学園の森エリアの拡大
研究学園駅周辺は、近年急速に発展している新興エリアです。大型商業施設「イーアスつくば」を中心に、飲食店やカフェ、生活雑貨店などが集まり、休日には多くの人で賑わいます。周辺には新築マンションや戸建て住宅が立ち並び、子育て世代を中心に人気の高い住宅地として知られています。公園や保育施設の整備も進み、暮らしやすい街として注目を集めています。
さらに、学園の森エリアでは住宅開発とともに小規模な専門店やベーカリー、レストランが増え、落ち着いた雰囲気の中で個性ある街並みが形成されています。幹線道路沿いにはショッピングセンターやホームセンターが並び、車での買い物も便利です。こうしたエリアの発展は、つくば全体の商業バランスを広げ、駅周辺だけでなく郊外にも生活利便性をもたらしています。
生活環境と住みやすさ
教育・子育て環境
つくば市は教育都市として全国的に知られています。筑波大学をはじめ、国立・公立の研究機関が多く集まり、学術的な環境が整っています。市内の小中学校は比較的新しく、教育設備やICT環境が充実しているのが特徴です。特に英語教育や国際理解教育に力を入れる学校も多く、グローバルな視点を育む学習環境が整備されています。子育て世帯にとっては、教育資源の豊富さが大きな魅力の一つです。
また、保育園や幼稚園の数も多く、共働き世帯でも預け先に困りにくい環境が整っています。地域の子育て支援センターや親子カフェなども充実しており、子育て世代が安心して暮らせる体制が整っています。大学や研究施設が多い地域柄、教育に関心の高い家庭が多く、学びに対する意識が街全体で共有されています。
買い物・日常生活の便利さ
つくば市は商業施設の分布が広く、日常生活に必要な買い物環境が整っています。駅前には「トナリエつくばスクエア」や「BiViつくば」などの大型施設があり、ファッションや飲食、映画などが一か所で楽しめます。さらに、研究学園エリアには「イーアスつくば」やロードサイド型店舗が多く、車での移動を前提にした快適なショッピングが可能です。市内各所にスーパーやドラッグストア、ホームセンターが点在しており、生活必需品の調達にも困りません。
カフェやベーカリー、地元食材を扱う専門店も多く、日常の中に楽しみを見つけやすいのも特徴です。郊外には農産物直売所やファーマーズマーケットもあり、新鮮な食材を手に入れることができます。生活に必要な機能が市全体に分散しているため、どのエリアに住んでも利便性を感じやすい環境です。
家賃・住宅事情
つくば市の住宅事情は、首都圏近郊としては比較的ゆとりがあります。つくばエクスプレス沿線を中心に新しい住宅地が開発され、マンションや戸建ての選択肢が豊富です。駅近のマンションでも、東京に比べて家賃や購入価格が抑えられており、広い間取りを確保しやすい傾向があります。特に研究学園や学園の森周辺では、新築の分譲住宅が増え、若いファミリー層の人気が高まっています。
一方で、郊外エリアでは広い敷地の戸建て住宅が多く、駐車場付きの物件が主流です。賃貸住宅の供給も多く、学生や単身者向けのアパートからファミリー向けの賃貸まで幅広く選べます。交通アクセスと生活環境のバランスを考えながら、自分のライフスタイルに合った住まいを選べるのが特徴です。
街の雰囲気と魅力
都会らしさを感じるポイント
つくば市の中心部は、近代的な街並みと開放的な空間設計が特徴です。つくば駅周辺にはペデストリアンデッキが広がり、ガラス張りの建物や整然とした街路樹が並びます。道路や歩道の幅が広く、計画的に整備された街づくりが進められており、地方都市の中でも洗練された印象を受けます。カフェやレストランも多く、若者や研究者が集うことで国際的な雰囲気が感じられます。
また、研究学園エリアでは新しい住宅街や商業施設が続々と増え、週末にはショッピングやグルメを楽しむ家族連れが多く見られます。イベントやマルシェも頻繁に開催されており、地域住民が交流する機会が多いのも特徴です。街全体に活気があり、知的で落ち着いた雰囲気が広がっています。
のどかさ・自然環境
つくば市は都市的な機能を持ちながらも、自然が豊かに残る街です。市の北側には筑波山がそびえ、四季折々の風景を楽しむことができます。筑波山神社や登山道、温泉施設などもあり、休日のレジャーとして地元住民に親しまれています。市内には広大な公園や緑地が点在しており、ジョギングやピクニックを楽しむ姿も多く見られます。
さらに、住宅地の中にも緑が多く配置されており、自然と共存する都市景観が形成されています。研究学園や学園の森などの新しいエリアでも、街路樹や公園が整備されており、季節の移ろいを身近に感じることができます。こうした環境は、忙しい日常の中でも心地よい時間を過ごせる街の魅力を生み出しています。
他都市との比較
土浦市・守谷市との比較
つくば市は、茨城県南地域の中でも発展が進んでいる都市の一つです。隣接する土浦市は歴史ある城下町としての側面を持ち、古くからの商業エリアや住宅街が広がっています。これに対し、つくば市は計画的に整備された新しい街並みが特徴で、建物の高さ制限や街路の広さなどにより整然とした都市景観が形成されています。両市は性格が異なり、つくば市は新しい都市機能が集約されているのに対し、土浦市は伝統的な生活圏が根強く残っています。
一方、守谷市はTX沿線で東京へのアクセスが最も良いエリアの一つです。守谷駅から秋葉原駅までは最短約32分で結ばれており、都内への通勤を重視する層から人気があります。商業施設の利便性や住宅地としての整備度も高いですが、面積や人口規模ではつくば市のほうが大きく、研究施設や教育機関の集積という点で性格が異なります。沿線全体で見ると、つくば・研究学園・守谷が南北に発展の軸を形成しています。
「東京通勤圏」としての評価
つくば市は東京駅から約50kmの位置にあり、つくばエクスプレスの開通によって首都圏通勤圏としての地位を確立しました。秋葉原まで直通で45分前後というアクセスは、他の地方都市と比べても利便性が高く、都心勤務者が郊外に住む選択肢として注目されています。特に研究学園や万博記念公園周辺では、駅近の住宅地が人気を集めています。
また、常磐自動車道や圏央道の利用により、車での移動も広範囲に可能です。成田空港へは車で約1時間前後、水戸市方面や千葉方面への移動もスムーズに行えます。こうした交通網の整備によって、つくば市は通勤・通学だけでなく、首都圏全体との往来が容易なエリアとして機能しています。
まとめ
つくば市は、学術研究都市としての一面と、住みやすい生活都市としての側面をあわせ持つ街です。つくばエクスプレスの開通により都心との距離が縮まり、通勤や通学の利便性が向上しました。再開発が進む駅周辺には大型商業施設やオフィスが集まり、都市機能が高い環境が整っています。
一方で、筑波山をはじめとする自然環境も豊かで、公園や緑地が多く、穏やかな暮らしを求める人にも適しています。教育・研究機関が集まるため知的な雰囲気が漂い、多様な人々が集まる街として国際色もあります。
こうした要素が組み合わさることで、つくば市は「自然と利便性の調和した都市」として独自の魅力を発揮しています。都会の快適さと郊外のゆとりを両立できる環境は、多くの人にとって理想的な暮らしの舞台となっています。