「筑波大学に行きたいけれど、入試区分が複雑すぎてよくわからない……」
「総合選抜の理系Ⅰ・Ⅱ・Ⅲって、結局どれを受ければいいの?」
筑波大学の受験を考えた時、最初にぶつかる大きな壁がこの「独特な入試システム」です。
特に「総合選抜」は、入学後に専攻を決められる魅力的な制度ですが、仕組みを正しく理解していないと、「入学したのに行きたい学部(学類)に進めなかった」という取り返しのつかない事態になりかねません。
この記事では、筑波大入試の仕組みを徹底解剖し、以下のポイントを分かりやすく解説します。
- 理系Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの具体的な違いと選び方
- 「総合選抜」と「学類選抜(個別)」のどちらで受けるべきか
- 知らないと怖い、入学後の「移行(進級)」のリアル
これを読めば、自分がどの区分に出願すれば合格率を高められるか、そして入学後に後悔しない選択ができるようになります。ぜひ出願前の最終確認に使ってください。
結論:理系Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと「選抜区分」の選び方
まず、時間のない受験生のために結論からお伝えします。
筑波大学の入試は、「どの分野を学びたいか(理系Ⅰ〜Ⅲ)」と、「いつ専門を決めるか(総合選抜か学類選抜か)」の掛け合わせで決まります。
【一覧表】理系Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの対応分野と重点科目
理系Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは、単純な数字の違いではなく、「将来進むことになる学群(学部)」によって明確に分かれています。
| 区分 | 主な移行先(学群・学類) | 分野のイメージ | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 理系Ⅰ | 理工学群 (工学システム、数学、物理、化学など) | 工学・理学 ものづくり、基礎科学 | ・数学、物理が得意 ・エンジニアや研究者を目指したい |
| 理系Ⅱ | 生命環境学群 (生物、生物資源、地球など) | 生物・農学 バイオ、環境、農業 | ・生物、化学が好き ・環境問題や食料問題に関心がある |
| 理系Ⅲ | 情報学群 (情報科学、メディア創成など) | 情報・学際 IT、プログラミング | ・情報系に興味がある ・文理融合や図書館情報学を学びたい |
※入試科目は共通(理科2科目選択など)の場合が多いですが、区分によって入学後の優先配属先が異なります。
【比較表】総合選抜 vs 学類選抜(個別)のメリット・デメリット
次に悩むのが、「総合選抜」で受けるか、最初から「学類選抜(〇〇学類)」で受けるかです。
| 項目 | 総合選抜 | 学類選抜(個別) |
|---|---|---|
| 入学時の所属 | 総合学域群(全学共通) | 各学群・学類(専門決定済み) |
| 専門決定の時期 | 2年生進級時(1年かけて選ぶ) | 入学時(最初から決まっている) |
| メリット | ・1年間いろいろ学んでから進路を決められる ・定員が多く門戸が広い | ・最初から専門分野に特化できる ・進級時の競争(移行リスク)がない |
| デメリット | ・2年次の移行に成績競争がある ・人気学類は狭き門になるリスク | ・一発勝負で倍率が高くなりやすい ・入試難易度が高い傾向がある |
【結論:どっちを選ぶ?】
- やりたいことが明確で、絶対にその学類に行きたい人 👉 「学類選抜」
- まだ迷っている、または少しでも合格の可能性を広げたい人 👉 「総合選抜」
- ただし、総合選抜は入学後に「成績争い」があることを覚悟してください。
総合選抜「理系Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の詳細な違いと選び方
ここでは、総合選抜の3つの区分について、さらに詳しく解説します。出願ミスを防ぐため、自分の志望と合っているか必ず確認してください。
理系Ⅰ:数学・物理重視の「工学・理学」タイプ
理系の中で最も募集定員が多いのがこの「理系Ⅰ」です。
- 主な移行先: 理工学群(数学類、物理学類、化学類、応用理工学類、工学システム学類、社会工学類)
- 特徴: 物理・化学の基礎学力が重視されます。伝統的な「理学部」「工学部」のイメージそのものです。
- 選び方: 機械、電気、建築、あるいは純粋な数学や物理学を究めたいなら、迷わず「理系Ⅰ」を選びましょう。
理系Ⅱ:生命・環境重視の「生物・農学」タイプ
生き物や自然環境に関心があるなら「理系Ⅱ」です。
- 主な移行先: 生命環境学群(生物学類、生物資源学類、地球学類)
- 特徴: 生物選択の受験生が多く集まります。筑波大は農学・生物系が非常に強いため、根強い人気があります。
- 選び方: バイオテクノロジー、農業、気象、地質学などに興味がある人はこちらです。
理系Ⅲ:情報重視の「情報」特化タイプ
近年、最も注目され、かつ激戦区となっているのが「理系Ⅲ」です。
- 主な移行先: 情報学群(情報科学類、情報メディア創成学類、知識情報・図書館学類)
- 特徴: IT人気に伴い、倍率や難易度が上昇傾向にあります。
- 選び方: プログラミング、AI、データサイエンス、メディアアートなどを学びたい人はここです。理系Ⅰと間違えないように注意してください。
「総合選抜」と「学類選抜」どっちに出願すべき?
筑波大学の前期日程は、「1つ」しか出願できません。
「総合選抜」か「学類選抜」か、究極の二択をどう攻略すべきでしょうか。
合格難易度と倍率の傾向
一般的に、「学類選抜」の方が難易度(偏差値・倍率)は高くなる傾向があります。定員が少なく、その分野を熱望する層が集まるためです。
一方、「総合選抜」は定員が非常に多いため、見かけ上の倍率は低く出ることがありますが、決して「滑り止め」ではありません。合格最低点は決して低くないため、油断は禁物です。
前期日程での併願戦略(学類か総合か)
あなたの現状に合わせて、以下の2パターンで検討することをおすすめします。
Aパターン:合格可能性を最優先する「安全策」
- 対象: 模試の判定がボーダーライン、または特定の学類に固執していない人。
- 戦略: 「総合選抜」に出願する。
広い枠で募集される総合選抜の方が、わずかですが合格のチャンスは広がります。まずは筑波大生になることを優先し、入学後に頑張って希望の学類を目指すルートです。
Bパターン:移行リスクを回避する「特攻策」
- 対象: 「情報科学類以外は行きたくない」など、志望が強固な人。
- 戦略: 「学類選抜」に出願する。
後述する「移行リスク」を避けるため、倍率が高くても正面突破を狙います。もしダメだった場合の後期日程や私立併願もしっかり準備しておく必要があります。
【重要】知っておくべき「移行(所属決定)」のリアル
総合選抜を選ぶ場合、絶対に知っておかなければならないのが、2年生になる時の「移行(振り分け)」システムです。
希望の学類に行けるとは限らない
「理系Ⅰで入れば、自動的に工学システム学類に行ける」わけではありません。
各学類には「受け入れ定員」があります。希望者が定員を超えた場合、1年次の成績(GPA)が良い人から順に希望が通ります。
つまり、成績が下位になってしまうと、第1志望、第2志望の学類に行けず、定員割れしている学類に回ることになります。
特に「情報系」や「人気学類」は激戦
特に注意が必要なのが「情報学群(理系Ⅲからの移行)」です。
近年、情報系人気が爆発しており、理系Ⅲ内での移行競争が非常に激しくなっています。
「とりあえず総合選抜で入って、後で情報に行こう」という軽い気持ちだと、大学での成績競争に勝てず、希望の道が閉ざされるリスクがあります。
「他区分」への移行も可能だが枠は狭い
制度上、例えば「理系Ⅰ」で入学して、「理系Ⅱ」の領域(生物資源学類など)へ移行することも可能です(全学的移行枠)。
しかし、この枠は元々の区分(理系Ⅱ入学者)に比べて非常に狭く設定されています。
「入ってから文転・理転できる」などと考えず、基本的には自分の行きたい分野に対応した区分(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)を受けるのが鉄則です。
まとめ:後悔しない出願区分の決め方
筑波大学の入試システムは複雑ですが、正しく理解すればチャンスに変えられます。
最後に、出願区分を決定するための3ステップをまとめます。
- 「絶対に譲れない学びたい分野」があるか確認する
- ある(例:絶対に情報科学!)→ 「学類選抜」を検討。
- ない・迷っている・合格優先 → 「総合選抜」へ。
- 総合選抜なら、自分の得意科目と興味分野でⅠ・Ⅱ・Ⅲを選ぶ
- 工学・物理・数学系 → 理系Ⅰ
- 生物・農学・環境系 → 理系Ⅱ
- 情報・メディア系 → 理系Ⅲ
- 入学後も1年間は「成績争い」があることを覚悟して出願する
- 合格して終わりではなく、大学1年生の成績が進路を決めます。
複雑なシステムですが、逆に言えば「入学後に専攻を変えられるチャンスがある」のが筑波大学・総合選抜の最大の魅力でもあります。
仕組みを理解した上で、あなたにとってベストな選択をしてください。応援しています!