九州への旅行や出張、あるいは引越しを控えている方が、ふと不安に思うのが「エスカレーターの立ち位置」ではないでしょうか。「西日本だから大阪と同じ右側?」「それとも東京と同じ左側?」と、駅のホームで一瞬足が止まってしまう方も多いはず。
結論から言うと、九州地方のエスカレーターは基本的に「左側に立ち、右側を空ける」という、関東と同じスタイルが主流です。
しかし、九州最大の都市である福岡などでは、近年「歩かずに2列で立ち止まる」という新しいマナーを推奨する動きも活発になっています。この記事では、九州各県の立ち位置事情から、現地で迷わないための最新ルールまでを分かりやすく解説します。
九州は基本的に「左立ち・右空け」!関東と同じスタイル
九州地方(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)の全域において、エスカレーターの立ち位置は「左側に立ち、右側を歩く人のために空ける」というスタイルが一般的です。
「西日本=大阪と同じ右立ち」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、九州に関しては東京を中心とした関東圏と同じルールだと覚えておけば間違いありません。
なぜ西日本なのに「左立ち」なの?
これには諸説ありますが、大きな理由の一つとして、日本の標準的なマナーが「左立ち」として広まった際、九州の主要都市もそれに倣ったという背景があります。
関西(特に大阪周辺)で「右立ち」が定着したのは、1970年の大阪万博を機に「国際標準(当時のロンドンなど)」に合わせた独自の文化が根付いたためと言われています。九州は地理的には関西に近いものの、交通インフラの整備や都市開発の過程で、全国的な主流である左立ちが定着しました。
主要スポットでの状況
旅行や出張で訪れる際、以下の場所では特に「左立ち」が徹底されている様子が見て取れます。
- 福岡空港・新幹線(博多駅など): 多くの旅人が行き交う場所ですが、綺麗に左一列に並ぶ光景が日常です。
- 大型商業施設: 天神や博多の駅ビル、アミュプラザなどでも、基本的には左側に寄って乗るのが暗黙の了解となっています。
初めて九州に降り立った際、もし立ち位置に迷ったら、まずは「左側」に寄っておけば周囲の流れを止める心配はありません。
九州の中でも違いはある?地域別の傾向
九州を横断してみると、基本の「左立ち」は共通しているものの、街の雰囲気や人の流れによって微妙な違いを感じる場合があります。
福岡・熊本・鹿児島など主要都市:ほぼ「左一択」
新幹線が通る福岡(博多)、熊本、鹿児島の主要駅では、左側に立つスタイルが非常に強固です。
- 福岡市: 九州最大の都市ということもあり、通勤・通学時間帯は「左に立つ・右を空ける」という流れがシステマチックに整っています。
- 熊本・鹿児島: 路面電車やJRの駅でも、基本的には関東と同じ感覚で利用して問題ありません。
宮崎県:場所によって「右」が混ざることも?
インターネット上の口コミや調査(Jタウンネットなど)では、稀に「宮崎県では右に立つ人がいる」という報告が見られます。これにはいくつかの理由が推測されています。
- 関西からの観光・移住の影響: 地理的に関西圏からのフェリーや航空便のアクセスが良く、関西文化が混ざりやすい。
- 混雑度の低さ: 都市部に比べてエスカレーターがそこまで混雑しない施設では、左右のルールが厳格に決まっておらず、その時々の気分で立っているケースがある。
ただし、宮崎市内などの主要スポットでも現在は「左」が一般的になりつつあるため、「宮崎だから絶対に右」と思い込む必要はありません。
迷った時の対処法:究極のルールは「郷に入っては……」
もしあなたが「ここは左かな?右かな?」と迷ってしまったら、以下の3ステップを思い出してください。
- ステップ1:前の人に合わせる
すでに列ができている場合は、前の人に倣うのが最も安全でスマートです。 - ステップ2:手すりのステッカーを確認する
最近は手すりの付け根などに「左側に立ち止まってください」といった案内シールが貼られていることが多いです。 - ステップ3:真ん中に乗る(空いている場合のみ)
後ろに誰もいない場合はどこに立っても自由ですが、後ろから人が来たときにすぐ譲れるよう、基本は左に寄っておくのが無難です。
【最新動向】福岡市地下鉄が進める「歩かず2列」の取り組み
これまで「右側を空ける」のは急ぐ人への配慮とされてきましたが、現在、福岡市地下鉄を中心に「エスカレーターでは歩かず、2列で立ち止まろう」という新しいマナーの定着が進められています。
なぜ「片側空け」をやめるのか?
福岡市地下鉄が2022年11月から本格的に開始した「勇気を持って、右側に立ち止まろう」キャンペーンには、主に2つの大きな理由があります。
- 安全性の確保
エスカレーターでの歩行は、他の利用者との接触や転倒事故の原因になります。また、病気や怪我、障害により「右側の手すりしか掴めない」という方もいます。右側を歩く人のために空けてしまうと、そうした方々が不自由な思いをしたり、危険にさらされたりするためです。 - 輸送効率の向上
実は、全員が2列で立ち止まって乗るほうが、片側を空けて歩行者がいる状態よりも、一度に運べる人数が多くなり、結果として駅全体の混雑緩和につながることが分かっています。
「右側に立ち止まる勇気」を後押し
福岡市地下鉄の駅構内では、ポスター掲示や放送だけでなく、ステップ(踏み面)に足跡マークを設置して2列利用を促すなどの工夫が凝らされています。
「急いでいる人が後ろにいたら申し訳ない……」と感じる心理的なハードルは高いものですが、「右側に立ち止まることは、誰もが安全に利用するための優しいマナー」であるという認識が広まりつつあります。
現地の状況:理想と現実のあいだ
2026年現在、福岡の街なかでは依然として「左に立ち、右を歩く」光景が多く見られるのが実情です。
しかし、駅の案内放送で「立ち止まってご利用ください」と流れている際は、無理に歩く必要はありません。特に小さなお子様連れやご高齢の方、大きな荷物(スーツケースなど)を持っている場合は、周囲の状況を見つつ、安全のために2列で立ち止まることが推奨されます。
全国主要都市との比較表
九州と他の地域ではどれくらいルールが違うのか、2026年現在の主要都市の状況を一覧表にまとめました。
| 地域 | 立ち位置 | 備考 |
|---|---|---|
| 九州(福岡・熊本など) | 左側 | 基本は「左立ち」。福岡市地下鉄を中心に「歩かず2列」を推進中。 |
| 関東(東京・埼玉など) | 左側 | 日本の標準的なスタイル。埼玉県では全国初の「歩かない条例」を施行。 |
| 関西(大阪・兵庫など) | 右側 | 日本で唯一「右立ち」が圧倒的多数派。京都や奈良もこれに準じます。 |
| 中京(名古屋など) | 左側 | 基本は左だが、名古屋市では「立ち止まっての利用」が条例で義務化。 |
| 北海道・東北・中国地方 | 左側 | 札幌、仙台、広島などの地方中枢都市も、基本的には「左立ち」が主流。 |
注目すべきは「条例」の存在
表からも分かる通り、九州や関東などは「左」で共通していますが、最近は「どちらかに寄る」という慣習そのものを変えようとする動きが出ています。
- 埼玉県・名古屋市: 条例によって、エスカレーターで歩くこと自体を禁止・制限しています。
- 福岡市: 条例化はされていませんが、地下鉄などで「右側にも立とう」という呼びかけが非常に熱心に行われています。
九州を訪れる際は、基本は「左」を意識しつつも、駅のポスターなどで「2列利用」が推奨されている場合は、無理に右を空けなくても良いという新しいマナーが広まりつつあります。
まとめ:九州では「左」が基本、でも「立ち止まる」が理想
九州のエスカレーターマナーについて解説してきましたが、大切なポイントを最後におさらいしましょう。
- 基本は「左立ち・右空け」
福岡、熊本、鹿児島など、九州のほとんどの地域では関東(東京)と同じく、左側に立ち止まるのが主流です。 - 「西日本=右立ち」の例外と考える
大阪などの関西圏とはルールが異なるため、九州では「郷に入れば左に従え」の精神でOKです。 - 福岡では「歩かない」が新常識に
福岡市地下鉄などでは、安全のために「2列で立ち止まる」ことが推奨されています。右側に立っている人がいても、それは新しいマナーを実践している証拠かもしれません。 - 迷ったら「前の人」をチェック
どうしても不安な時は、一歩下がるか周囲の状況を観察しましょう。前の人に合わせるのが、最もスマートで確実な方法です。
「どっちに立つべき?」という悩みは、それだけあなたが周囲への配慮を大切にしている証です。基本の「左立ち」を意識しつつ、状況に応じて「立ち止まって安全に利用する」という最新のルールも取り入れて、快適な九州の旅や生活を楽しんでくださいね。