「九州に行くなら、一年中暖かいから薄着で大丈夫だよね?」
もしそんな風に思っているなら、少しだけ待ってください。実は、九州を「北部」と「南部」で分けてみると、そこには「本州並みに冷え込む雪国の一面」と「火山灰と向き合う南国の顔」という、驚くほど対照的な姿が見えてきます。
天気予報でよく耳にする「九州北部」という言葉に、なぜか山口県が含まれていたり、地理のテストで「筑紫平野」と「シラス台地」の区別に頭を悩ませたり……。九州の区分には、意外と知られていない「ナゾ」や「ルール」がたくさんあります。
この記事では、
- 結局、熊本県は北部なの?南部なの?
- なぜ北部は「お米」で、南部は「お肉」が有名なの?
- 冬の旅行で後悔しないための気候の正解は?
といった疑問を、地図や比較表を使いながらスッキリ整理して解説します。この記事を読み終える頃には、九州の多様な魅力がもっと立体的に見えてくるはずですよ!
そもそも「北部」と「南部」は何県を指す?
九州を「北部」と「南部」に分けるとき、もっとも一般的なのは「5県 vs 2県」という区分です。まずは、基本の顔ぶれを確認してみましょう。
| 区分 | 構成県 | 特徴・イメージ |
|---|---|---|
| 北部九州 | 福岡・佐賀・長崎・大分・熊本 | 都市化が進み、交通網が発達した「経済の中心」 |
| 南部九州 | 宮崎・鹿児島 | 広大な自然と温暖な気候が魅力の「農業・観光の要」 |
【疑問1】 熊本県は「北部」なの?「南部」なの?
結論から言うと、熊本県は「北部九州」に含まれます。
しかし、地図を見ると九州のちょうど真ん中にあるため、地元やビジネスの場では「中九州」という言葉が使われることも少なくありません。「南国・九州」のイメージから「南部」と思われがちですが、行政や気象の区分では「北部」に分類されることを覚えておくとスマートです。
【疑問2】 なぜ天気予報の「九州北部」に山口県が入るの?
テレビの気象ニュースなどで「九州北部地方の天気です」と言いつつ、山口県が一緒に表示されて不思議に思ったことはありませんか?
気象庁の「九州北部地方」の定義:
山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県
これは、関門海峡を挟んだ山口県が、地形や海流の影響で福岡県などと似た気象特性(冬の日本海側の気候など)を持っているためです。行政上は中国地方の山口県ですが、空の機嫌に関しては「九州北部チーム」の一員として扱われているのです。
自然と地形:平野の北部、火山の南部
九州の景色を思い浮かべるとき、見渡す限りの田園風景を想像しますか?それとも、モクモクと噴煙を上げる雄大な火山でしょうか。実はそのイメージの違いこそが、北部と南部の地形の差そのものです。
北部:広大な平野と恵みの水
北部の地形を象徴するのは、なんといっても九州最大の広さを誇る筑紫(つくし)平野です。
- 成り立ち: 九州一の大河・筑後川などが運んできた土砂が積もってできた、肥沃な平野です。
- 特徴: 地面が安定しており、水持ちが良いため、古くから稲作(お米作り)に最適な土地として発展してきました。
- 暮らしへの影響: 平坦な土地が広いため、福岡市を中心に都市開発が進みやすく、新幹線や高速道路などの交通網もこの平野を軸に発達しています。
南部:シラス台地と火山のダイナミズム
一方、南部を語る上で欠かせないのが「火山の贈り物」であり、かつては開拓の障壁でもあったシラス台地です。
- 成り立ち: 巨大な噴火による火砕流が積み重なってできた、真っ白な火山灰の台地です。
- 特徴: 非常に水はけが良く、水分を蓄える力が弱いため、かつては稲作が非常に難しい土地でした。また、崩れやすい性質も持っています。
- 火山の存在: 桜島や阿蘇山(中部〜北部寄りですが南部にも影響大)、霧島連山など、現在も活動を続ける活火山が身近にあります。
ここが面白い!
北部は「川が運んだ豊かな土」、南部は「火山が降らせた真っ白な土」。この「土の性質」の違いが、次に解説する「お米 vs お肉」という農業のコントラストを生み出すことになります。
農業の違い:稲作 vs 畜産・畑作
九州の農業を語る際、北部は「お米」、南部は「お肉と野菜」というはっきりとした役割分担があります。これは、先ほど解説した「土の性質(地形)」を最大限に活かした結果です。
北部:効率を極めた「稲作」と「二毛作」
水持ちの良い筑紫平野を抱える北部は、日本でも有数の穀倉地帯です。
- メインは稲作: 広い平野と豊かな水を利用して、古くからお米作りが盛んです。
- 二毛作(にもうさく)の知恵: 北部の大きな特徴は、同じ田んぼで時期をずらして2種類の作物を育てることです。「夏にお米」を収穫した後、「冬に麦」を育てるスタイルが一般的です。
南部:シラス台地を逆手に取った「畜産」と「畑作」
お米作りに向かない「水はけの良すぎる」シラス台地。南部の先人たちは、この土地を別の形で宝の山に変えました。
- 畜産王国: 鹿児島や宮崎は、豚・牛・鶏の生産量が日本トップクラス。サツマイモ(シラス台地でも育つ!)を餌に混ぜるなど、土地の特性を活かしたブランド肉が有名です。
- サツマイモと茶: 水はけを好むサツマイモや、お茶の栽培も盛んです。これらは南部の景観の一部にもなっています。
- 促成栽培(そくせいさいばい): 夏から秋の台風を避け、冬の暖かさを利用して、ピーマンやキュウリをビニールハウスで通常より早く育てます。これにより、冬でも全国の食卓に新鮮な野菜を届けています。
【テストに出る!】二毛作と二期作、何が違う?
ここ、学生さんが一番間違えやすいポイントです!
- 二毛作(北部など): 同じ土地で「違う種類」の作物を育てる(例:米+麦)。
- 二期作(南部・高知など): 同じ土地で「同じ種類」の作物を2回育てる(例:米+米)。
- ※最近は南部でも、お米の二期作よりは、畜産やビニールハウスでの促成栽培の方が主流になっています。
| 項目 | 北部九州(5県) | 南部九州(2県) |
|---|---|---|
| 主な産物 | 米、麦(二毛作) | 牛・豚・鶏、サツマイモ、ピーマン |
| 栽培方法 | 二毛作が盛ん | 促成栽培、広大な牧場 |
気候と旅行の注意点:冬の寒さに注意!
「九州=南国」というイメージだけでパッキングをすると、現地で震えることになるかもしれません。北部と南部では、冬の体感温度や夏のリスクが大きく異なります。
北部:冬は「日本海側」の厳しさがある
福岡や佐賀などの北部は、冬になると大陸からの冷たい季節風が吹きつけます。
- 意外と寒い: 冬の気温は東京や大阪とほとんど変わりません。風が強いため、体感温度はそれ以上に低く感じることがあります。
- 雪に注意: 熊本の阿蘇や大分の九重といった山間部では、冬に雪が積もり、道路がチェーン規制になることも珍しくありません。冬のドライブ旅行にはスタッドレスタイヤが必須です。
- 服装の正解: 12月〜2月に訪れるなら、しっかりとしたコートやマフラーなど、本州と同じ冬の装備が必要です。
南部:温暖だが「空からの落とし物」に注意
宮崎や鹿児島は、冬でも日差しがあればポカポカと暖かい「南国」らしい気候です。ただし、特有の注意点があります。
- 台風の通り道: 夏から秋にかけては、非常に強い台風が上陸しやすいエリアです。旅行の計画が立てづらい時期でもあるため、天気図のチェックが欠かせません。
- 火山灰(鹿児島): 鹿児島市内などでは、桜島の活動によって日常的に火山灰が降ります。
- 旅行者のヒント: 目に灰が入るのを防ぐためのサングラスや、服をパッパとはらえるブラシ、あるいは灰が目立たない色の服を選ぶのが地元流の知恵です。
旅行のポイントまとめ
| 項目 | 北部九州(福岡・熊本など) | 南部九州(鹿児島・宮崎など) |
|---|---|---|
| 冬の気温 | 本州並みに寒い。山間部は積雪も。 | 比較的温暖だが、風は冷たい。 |
| 夏〜秋のリスク | 集中豪雨に注意。 | 台風の直撃コースになりやすい。 |
| 持っていくべき物 | 厚手のコート、カイロ(冬) | 折りたたみ傘、サングラス(火山灰/日差し) |
豆知識: 九州の天気予報を見るときは、自分の目的地が「日本海側(北部中心)」か「太平洋側(南部中心)」かを意識すると、服装の失敗がグンと減りますよ!
まとめ:九州の南北比較チャート
最後に、北部九州と南部九州の違いを一覧表でまとめました。旅行の計画や学習の復習にぜひ役立ててください。
| 比較項目 | 北部九州(5県) | 南部九州(2県) |
|---|---|---|
| 主な県 | 福岡、佐賀、長崎、大分、熊本 | 宮崎、鹿児島 |
| 地形のシンボル | 筑紫平野(広大な平野) | シラス台地(火山灰の台地) |
| 農業の特色 | 稲作・二毛作(米+麦など) | 畜産・促成栽培(肉・ピーマンなど) |
| 冬の気候 | 本州並みに寒い。山間部は積雪あり。 | 比較的温暖だが、季節風は吹く。 |
| 主な自然災害 | 梅雨時期の集中豪雨 | 台風、火山灰(鹿児島) |
「九州」と一括りにしても、北部と南部では地形も産業も、そして冬の寒ささえも驚くほど違います。
- 都会の活気と美味しいお米、歴史情緒を楽しむなら「北部」
- ダイナミックな火山、南国の太陽、ブランド肉を堪能するなら「南部」
それぞれの個性を知っておくと、九州の旅やニュースの見え方がもっと面白くなるはずです。次に九州を訪れる際は、ぜひこの「南北の違い」を肌で感じてみてくださいね!
豆知識:お出かけ前にチェック!
天気予報で「九州北部」と出たときは、山口県も含まれていることが多いです。逆に、熊本の方は「中九州」という区分がないか探してみると、より詳細な情報が手に入りますよ。