「富士山って、いま活動をお休みしている『休火山』だよね?」
30代以上の方であれば、学校の理科や地学の授業でそう習った記憶があるのではないでしょうか。しかし、もし今のお子さんに「富士山は休火山だよ」と教えると、それは間違いになってしまいます。
実は現在、「休火山」という言葉自体が使われなくなっているのをご存知でしょうか。
この記事では、今の富士山の正しい分類と、なぜ昔習った「休火山」という言葉が消えてしまったのか、その理由を分かりやすく解説します。情報のアップデートをして、モヤモヤをスッキリ解消しましょう!
【結論】現在の富士山は「活火山」!休火山という分類は廃止されました
結論から先に言います。
現在、富士山は「活火山(かつかざん)」に分類されています。
「えっ、今すぐ噴火しそうなの?」と驚かれるかもしれませんが、そうではありません。これには「言葉の定義」が大きく関わっています。
まずは、昔の常識と現在の正解を比較してみましょう。
【富士山の分類:新旧比較まとめ】
| 項目 | 現在の正解 | 昔の常識(現在は間違い) |
|---|---|---|
| 分類 | 活火山(かつかざん) | 休火山(きゅうかざん) |
| 定義の基準 | 概ね過去1万年以内に噴火したか、現在活発な噴気活動がある火山 | 現在活動していないが、歴史上に噴火記録がある火山 |
| 今の状態 | 将来的に噴火する可能性がある | 活動を「お休み」している(※この考え方は古い) |
| 備考 | 2003年の定義見直しにより、富士山は活火山に分類されています。 | 「休火山」「死火山」という言葉自体が、学術的には使われなくなりました。 |
かつては活動状況によって「活火山・休火山・死火山」の3つに分けられていましたが、現在、気象庁や火山学の分野では、これらの分類は廃止され、「活火山」か「それ以外」かという分け方に変わっています。
つまり、今の教科書やニュースでは、富士山は明確に「活火山」として扱われており、「休火山」という言葉は事実上の「死語」となっているのです。
なぜ「休火山」じゃなくなったの?定義変更の理由と歴史
なぜ、慣れ親しんだ「休火山」という言葉がなくなってしまったのでしょうか?それには、火山の研究が進んだことと、防災上の大きな理由があります。
「活火山」の定義が「過去2000年」から「過去1万年」に拡大
以前の定義では、「活火山」とは「現在活動している、または過去2000年以内に噴火した火山」という狭い範囲を指していました。そのため、最後の噴火(1707年の宝永噴火)から300年近く静かだった富士山は、「今は休んでいる=休火山」とされていました。
しかし、火山学の研究が進むにつれ、火山の寿命は人間が考えるよりもずっと長く、数千年の休止期間を経て再び大噴火を起こす火山が多いことが分かってきました。
そこで2003年(平成15年)、火山噴火予知連絡会は活火山の定義を「概ね過去1万年以内に噴火した火山」へと大幅に拡大しました。この新しい基準に照らし合わせると、過去1万年の間に何度も噴火を繰り返している富士山は、文句なしの「活火山」となるのです。
「休火山」「死火山」という言葉が消えた理由
定義が変わった背景には、「言葉のイメージによる油断」を防ぐ目的もありました。
「休火山」や「死火山」と言われると、どうしても「当分は噴火しない安全な山」「もう死んでいる山」というイメージを持ちませんか?
しかし、かつて「死火山」と思われていた木曽御嶽山(1979年噴火)や、「休火山」とされていた雲仙普賢岳(1990年噴火)が実際に噴火し、大きな被害が出た事例があります。
「休んでいるから安全とは言えない」
この教訓から、防災意識を高めるために「休火山・死火山」という誤解を招く区分は廃止され、将来噴火する可能性がある山はすべて「活火山」と呼ぶことになったのです。
「活火山」だからといって「今すぐ噴火する」わけではない
「富士山は活火山です」と聞くと、「明日にも噴火するのでは?」と不安になるかもしれません。しかし、過度に恐れる必要はありません。
「活火山」の意味は「将来噴火する可能性がある」ということ
現在の「活火山」という言葉は、今まさにマグマを吹き上げている状態だけでなく、「今は静かだけれど、将来的にまた活動する元気(ポテンシャル)がある山」も含んでいます。
火山の寿命は数十万年と言われます。その中の数百年程度の休みは、人間で言えば「ほんの少し昼寝をしている」程度の時間です。
「活火山」という分類は、「現役の火山である(引退していない)」ということを示しているに過ぎません。
富士山は現在どんな状態?(常時観測火山)
もちろん、現役である以上、備えは必要です。
そのため、富士山は活火山の中でも特に監視体制を強化すべき「常時観測火山(全国50火山)」の一つに指定されています。
気象庁によって、地震計や傾斜計、カメラなどで24時間365日、絶え間なく監視されています。もし地下でマグマが動くなどの異常があれば、すぐに情報が発表される体制が整っています。
「活火山」という言葉の響きに怯えるのではなく、「ちゃんと見守られている山」と正しく認識することが大切です。
まとめ
ここまでの内容をまとめます。
- 現在の正解: 富士山は「活火山」です。
- 死語になった言葉: 「休火山」「死火山」という区分は現在使われていません。
- 変わった理由: 数千年の眠りを経て噴火するリスクが考慮され、定義が「過去1万年以内」に拡大されたため。
- 防災の心得: 「活火山」だからといって今すぐ噴火するわけではありませんが、常時観測されている現役の火山であることを知っておきましょう。
もし、お子さんやお孫さんに「富士山って休火山だよね?」と聞かれたら、「昔はそう言ってたけど、今は活火山って呼ぶんだよ。ちゃんと監視されているから大丈夫だけど、元気な山なんだよ」と教えてあげてくださいね。