「一生に一度は登ってみたい富士山」と「死ぬまでに見たい絶景、屋久島の縄文杉」。
どちらも日本を代表する人気スポットですが、旅行を計画する際に必ずぶつかる壁があります。
「ぶっちゃけ、どっちの方がきついの?」
「私の体力で、本当にたどり着ける?」
せっかくの旅行でリタイアしたり、辛すぎて何も楽しめなかったりするのは避けたいですよね。
この記事では、実際に両方のフィールドを知る視点から、富士山と屋久島(縄文杉トレッキング)の「きつさの質」の違いを徹底比較します。
結論から言うと、総合的な難易度が高いのは「富士山」ですが、体へのダメージの種類は全く異なります。
この記事を読めば、あなたの今の体力や性格に合わせて、どちらから挑戦すべきかが明確になります。
【結論】総合的には「富士山」の方がきつい!しかし「きつさの種類」が違う
まず結論からお伝えします。登山初心者にとって、登頂失敗(リタイア)のリスクが高く、総合的な難易度が高いのは「富士山」です。
最大の理由は「高山病」という、体力だけではコントロールできない要素があるからです。
しかし、単純に「富士山の方が大変」と言い切れない部分もあります。なぜなら、屋久島には「距離の暴力」があるからです。両者の違いをわかりやすく比較表にまとめました。
【比較表:富士山 vs 屋久島(縄文杉)】
| 比較項目 | 富士山(吉田ルート想定) | 屋久島(縄文杉コース) |
|---|---|---|
| 総合的難易度 | ★★★★★(高い) | ★★★★☆(やや高い) |
| 一番の「きつい」要素 | 酸素不足(高山病)・急登 | 距離の長さ・足の痛み |
| 歩行距離 | 約14〜15km(往復) | 約22km(往復) |
| 行動時間 | 1泊2日が基本(計10〜12時間) | 日帰り(10〜12時間) |
| 標高差 | 約1,400m(五合目〜山頂) | 約700m(登山口〜縄文杉) |
| リタイアの主因 | 高山病、悪天候(低体温) | 時間切れ、足の疲労・痛み |
| こんな人におすすめ | 厳しい環境に挑戦し達成感を得たい人 | 長時間の歩行に耐える根気がある人 |
結論のポイント:
- 富士山: 「酸素が薄い」「岩場や砂利道の急勾配」という環境的な負荷が大きいのが特徴です。高山病にかかると、どんなに体力自慢の人でも動けなくなり、強制リタイアとなります。
- 屋久島: 「とにかく長い」「雨が多い」という肉体的な持久力が試されます。ただし、道は比較的整備されており(トロッコ道)、呼吸は楽なので、時間をかければ到達できる可能性は高いです。
「きつさの質」を深掘り比較!あなたにとって辛いのはどっち?
「きつい」と一言で言っても、その中身は全く別物です。ここでは、現場で感じるリアルな「辛さ」を具体的に解説します。あなたが「これなら耐えられるかも?」と思えるのはどちらでしょうか。
富士山のきつさ:酸素不足と環境の変化
富士山のきつさは、自分との戦いというより「環境との戦い」です。
- 高山病の恐怖
最大の敵です。標高が上がると酸素濃度は平地の約60%まで低下します。頭痛、吐き気、めまいが襲い、ひどい場合は一歩も動けなくなります。「体力があるから大丈夫」という理屈が通用しないのが怖いところです。 - 足元の悪さ(蟻地獄のような砂利道)
特に下山道が過酷です。さらさらの砂利道(須走)は、足を踏み出すたびにズルズルと滑り、膝と太ももに強烈な負荷がかかります。 - 過酷な環境ストレス
真夏でも山頂付近は気温一桁。強風が吹けば体感温度は氷点下です。さらに山小屋は混雑しており、十分な睡眠が取れないまま山頂アタックへ向かう…という精神的なタフさも求められます。
屋久島のきつさ:終わらないトロッコ道と雨
屋久島(縄文杉)のきつさは、「終わりの見えない単調さ」と「不快指数」です。
- 距離の暴力と「トロッコ道」
往復22kmのうち、約16km(片道8km)は平坦な「トロッコ道」を歩きます。「平坦なら楽勝では?」と思うかもしれませんが、これが曲者です。枕木の上を歩くため歩幅が固定され、景色もあまり変わらないため、精神的に飽きてきます。 - 地味に蓄積する足へのダメージ
枕木や固い地面を延々と歩くため、足の裏のマメや膝への衝撃がじわじわ蓄積します。後半は「足が棒になる」感覚を味わうでしょう。 - 雨のストレス
「1ヶ月に35日雨が降る」と言われる屋久島。レインウェアを着て10時間歩き続けるのは、想像以上に体力を奪います。蒸し暑さと濡れる不快感に耐えるメンタルが必要です。
数字で見る難易度比較(距離・時間・標高)
感覚的な話だけでなく、数字(データ)でも比較してみましょう。
歩行距離と時間は「屋久島」が上
「1日で歩く距離」と「拘束時間」だけで見れば、実は屋久島の方がハードです。
- 屋久島: 日帰りで22kmを一気に歩き切る必要があります。朝4時〜5時に出発し、夕方まで約10〜11時間歩き続けます。帰りのバスの時間というタイムリミットがあるため、あまりのんびりもできません。
- 富士山: 一般的には山小屋で一泊するため、1日あたりの歩行距離や時間は分散されます。しかし、睡眠不足の状態で深夜に歩き出す「ご来光登山」は、体内時計を狂わせるため数字以上の負荷があります。
標高差と酸素濃度は「富士山」が圧倒的
「体への負荷係数」が高いのは圧倒的に富士山です。
- 屋久島: 登山口から縄文杉までの標高差は約700m程度。これは高尾山などの一般的なハイキングの延長線上にあり、呼吸が苦しくなることは稀です。
- 富士山: 五合目から山頂までの標高差は約1,400m以上。しかも酸素が薄い環境でこの高さを登るため、心肺機能への負担は平地の数倍です。「ハァハァ」という息切れが常に続く状態になります。
初心者が挑戦するならどっちがおすすめ?
「結局、初心者の私はどっちに行けばいいの?」という疑問に、タイプ別にお答えします。
体力はあるが高所が不安なら「屋久島」
マラソン経験がある、あるいは長時間歩くこと自体は苦ではない、という方は屋久島(縄文杉)の方が成功率は高いでしょう。
屋久島は「歩きさえすれば着く」場所です。高山病のような強制リタイア要素が少ないため、コツコツ足を動かせる根気があれば、初心者でも達成可能です。森の癒やし効果もあるため、リフレッシュ目的の旅にも向いています。
根性で「達成感」を味わいたいなら「富士山」
「日本一の山に登った!」という明確な称号や達成感が欲しい人は富士山です。
長時間の持久力に自信がなくても、山小屋を利用して休み休み登れば、意外と登頂できてしまうケースも多いです。「苦しくても頑張る」という瞬発的な根性があるタイプは富士山向きです。ただし、事前の準備(装備や体調管理)は屋久島以上にシビアに行う必要があります。
成功率(登頂率)が高いのはどっち?
一般的に、初心者の成功率が高いのは「屋久島」です。
富士山は天候急変や高山病により、どんなに準備しても登頂を断念せざるを得ない場合があります。一方、屋久島は「辛いけど歩ききれた」という結果になりやすい傾向があります。
両方制覇するためのステップアップ手順
「いつかは両方行きたい!」と考えている方へ、おすすめのステップアップ手順をご提案します。
- ステップ1:まずは低山でトレーニング
いきなり本番は危険です。まずは高尾山(東京)や六甲山(兵庫)など、近くの低山で登山靴を履いて歩くことに慣れましょう。 - ステップ2:屋久島(縄文杉)で「長時間歩行」に慣れる
次に屋久島に挑戦します。ここで「往復10時間・22kmを歩き切れた」という自信をつけてください。酸素が濃い場所での長時間歩行は、基礎体力の確認に最適です。 - ステップ3:富士山で「高所」に挑む
屋久島をクリアできる体力があれば、富士山に挑戦する基礎はできています。あとは高山病対策と防寒対策を万全にして、日本一の頂を目指しましょう。
この順番であれば、挫折するリスクを最小限に抑えられます。
まとめ:自分のタイプを見極めて、最高の思い出を作ろう
富士山と屋久島、どちらもきついですが、得られる感動は一生モノです。
- 瞬発的な負荷と環境の過酷さなら「富士山」
- 持久戦と雨・距離の長さなら「屋久島」
「自分は高所が苦手かも」「長距離を歩くのは飽きっぽいかも」といった自分の特性を見極めて、まずは可能性の高い方から計画を立ててみてください。
どちらに行くにしても、スニーカーでの挑戦は無謀です。しっかりとしたトレッキングシューズやレインウェアを準備して、安全に最高の絶景を楽しんでくださいね!