街中で見かける「富士山ナンバー」。
日本を代表する山を冠したこのナンバープレートですが、実は「静岡県版」と「山梨県版」の2種類が存在することをご存知でしょうか?
一見すると全く同じに見えますが、実は見分けるための決定的なポイントがあり、さらに所有者にとっては手続きに関わる大きな違いがあります。
今回は、同じ「富士山」表記でも中身は別物である静岡版と山梨版の違い、マニアックな見分け方、そして引越し時に注意すべき意外な落とし穴について解説します。
【結論】静岡と山梨の富士山ナンバーは「管轄」と「封印」が違う
まず結論から言うと、両者の違いは「管理している役所(管轄)」と、それを見分けるための「封印(キャップ)」にあります。
ナンバープレートに大きく書かれた「富士山」という漢字(地域名表示)自体は、フォントも含めて完全に同一です。しかし、行政上は明確に区別されています。
両者の違いをまとめた比較表がこちらです。
| 比較項目 | 静岡県側(沼津事務所) | 山梨県側(山梨運輸支局) |
|---|---|---|
| ナンバーの表記 | 富士山 | 富士山 |
| 見分け方(普通車) | 左上の封印が「静」 | 左上の封印が「山梨」 |
| 管轄の違い | 沼津ナンバーの一種扱い | 山梨ナンバーの一種扱い |
| 図柄入りデザイン | 共通デザイン(同じ) | 共通デザイン(同じ) |
| 対象地域 | 富士宮市、富士市など | 富士吉田市、富士河口湖町など |
つまり、文字情報としては同じでも、「どこの陸運局(車検場)に登録されている車なのか」というバックグラウンドが異なります。
- 静岡版: 本来なら「沼津ナンバー」になる地域の車
- 山梨版: 本来なら「山梨ナンバー」になる地域の車
これらが、ご当地ナンバー制度によってそれぞれの県で「富士山」という名称を使っているため、このような現象が起きています。
【見分け方】街で見かけた富士山ナンバー、どっちの県か見抜く方法は?
では、ドライブ中などに前の車が「富士山ナンバー」だった場合、それが静岡の車なのか、山梨の車なのかをどうやって見分ければよいのでしょうか?
決定的証拠はリアナンバーの「封印(キャップ)」
普通車(登録車)の場合、後ろのナンバープレートの左上のボルトに、アルミ製のキャップが被せられています。これを「封印」と呼びます。
この小さなキャップに刻印されている文字を見るのが、唯一にして最大の見分け方です。
- 静岡県側: 封印に「静」の文字がある
- 山梨県側: 封印に「山梨」の文字がある
通常、封印の文字は「東京」「愛知」のように都道府県の頭文字1文字であることが多いですが、山梨県の場合は「山」だと「山口県」や「山形県」と被る可能性があるためか、珍しい「漢字2文字(山梨)」の刻印が採用されています。
ここを見れば、一発でどちらの県管轄かを見抜くことができます。
軽自動車は見分けがつかない?
残念ながら、軽自動車の場合は外見だけで見分けることはほぼ不可能です。
なぜなら、軽自動車には制度上「封印」が存在しないからです。ナンバープレート自体は全く同じものが発行されているため、見分けるためには車検証を確認するか、フロントガラスの車検ステッカー、あるいはディーラーのステッカーなどを見て推測するしかありません。
【デザイン】地方版図柄入りナンバー(背景の絵)に違いはある?
最近増えている、背景に富士山のイラストが描かれた「地方版図柄入りナンバープレート」。
「静岡側から見た富士山と、山梨側から見た富士山で、絵柄が違うのでは?」と思うかもしれませんが、実はデザインは静岡・山梨で「共通(全く同じ)」です。
これは導入時に両県で協議が行われ、「県境を越えてひとつのデザインを共有しよう」と決定されたためです。
- デザインの特徴: 雄大な赤富士と、その麓に広がる花畑
- 採用の経緯: 静岡県と山梨県の住民アンケートなどを経て、譲り合う形で共通のデザインが採用されました。
そのため、絵柄の違いで県を見分けることはできません。
【注意点】エリアを跨ぐ引越しは「ナンバー変更」が必要(同じ富士山なのに!)
これから富士山周辺へ移住・引越しを考えている方にとって、ここが最も重要なポイントです。
同じ「富士山ナンバー」のエリア同士で引越しをする場合でも、県を跨ぐとナンバープレートの交換が必要になります。
表記が変わらなくても「管轄変更」の手続きが必須
例えば、「静岡県富士宮市(富士山ナンバー)」から「山梨県富士吉田市(富士山ナンバー)」へ引っ越すとします。
多くの人が「表記が変わらないから、住所変更だけでナンバープレートはそのままでいいよね?」と誤解しがちです。しかし、これは間違いです。
- 管轄が変わる: 「沼津自動車検査登録事務所」から「山梨運輸支局」へ管轄が変わります。
- 封印が変わる: 「静」の封印を壊して取り外し、新しく「山梨」の封印をしてもらう必要があります。
- 番号が変わる: プレート自体を返納し、新しい番号のプレート(表記は同じ富士山)を受け取ることになります。
見た目は「富士山」から「富士山」への変更ですが、裏側の行政手続きとしては「全く別の地域のナンバーに変更する」のと同じ手間と費用がかかる点に注意してください。
【対象地域】富士山ナンバーを取得できる具体的な市町村
最後に、ご自身の居住地や引越し先が、静岡・山梨どちらの富士山ナンバー対象エリアなのかを確認しておきましょう。
静岡県側(4市1町)
旧来の「沼津ナンバー」エリアの一部です。
- 富士宮市(ふじのみやし)
- 富士市(ふじし)
- 御殿場市(ごてんばし)
- 裾野市(すそのし)
- 駿東郡 小山町(おやまちょう)
山梨県側(1市2町4村)
旧来の「山梨ナンバー」エリアの一部です。富士五湖周辺が含まれます。
- 富士吉田市(ふじよしだし)
- 南都留郡 富士河口湖町(ふじかわぐちこまち)
- 南都留郡 西桂町(にしかつらちょう)
- 南都留郡 忍野村(おしのむら)
- 南都留郡 山中湖村(やまなかこむら)
- 南都留郡 鳴沢村(なるさわむら)
- 南都留郡 道志村(どうしむら)
まとめ
「富士山ナンバー」は、文字表記こそ同じですが、静岡と山梨で明確に管理が分かれているユニークなナンバープレートです。
- 見分けるなら「封印」: 普通車の左上のキャップが「静」か「山梨」かを見る。
- 中身は別物: 管轄する陸運局が違うため、県をまたぐ引越しでは「ナンバー交換」が必須。
- デザインは仲良し: 図柄入りナンバーは両県共通のデザイン。
街で富士山ナンバーを見かけたら、ぜひ「封印」に注目して、どちらの県から来た車なのかチェックしてみてください。同じ富士山の麓でも、意外な違いが見えてくるかもしれません。